DIARY

2009.2.5(木)

ぼくがカーティス・メイフィールドの「スーパーフライ」というアルバム
やアイザック・ヘイズの「シャフト」という曲、ラロ・シフリンの「スパイ
大作戦」、「ブルース・リーのテーマ」、「ダーティー・ハリー」のサント
ラなど、ああいうチャカポコしたファンキーな黒人音楽が好きなのは、子供
の頃好きだった、沢田研二の曲や「太陽に吠えろ!」、「傷だらけの天使」
などの音楽に似ているからではないか、ということに、だいぶ前から薄々感
づいていたのだけれど、最近それが確信に変わった。
なぜかというと、この間ガロの「学生街の喫茶店」を聴いたら、アレンジ
が自分の記憶、イメージと違って、モーメンツというソウルコーラスグルー
プの"Sexy Mama"のような渋いセンスのリズムアレンジで、すげえかっこい
いと思ったのだ。この曲をアレンジしたのが、沢田研二「勝手にしやがれ」
の作編曲や「太陽に吠えろ!」の編曲、「傷だらけの天使」の編曲をした元
スパイダースの大野克夫という人で、結局ぼくは子供時代に、知らない間に
大野さんにとても影響を受けていたんだなと、最近気づいたんだな。

2009.1.14(水)

このあいだ買ったむかしの歌謡曲をiPodでいっぱい聴いて街を歩いたら、こ
ころのなかで自分は髪と髭を伸ばしパーマをあてパンタロンをはいていた。惚
れ惚れするほどいい曲がいっぱいある。ぼくは英米音楽ばかりを聴いてきたか
ら、今さら歌謡曲の素晴らしさに初めて出会ったようなものであり、この年に
なって音楽にとても新鮮な感動が得られて嬉しい。
小学生の頃、なぜ山口百恵がカリスマ的な人気があったのかよく分からなか
ったけれど、いまはよーく分かる。「美・サイレント」の、なんですかあの伏
せ字は!けしからん!サ・イ・コ・ウ。
阿木陽子さんの冴えまくった歌詞。その歌詞を全力で引き立てようとしてい
る楽曲。曲だけ取り出して吟味してみると、メロディーのポップさは、とんが
り過ぎているところもあって完璧なものではない。曲としては少し粗野なとこ
ろもある。だがそこは作者が狙ってそうしているようだ。なによりも百恵ちゃ
んの絶妙なキャラクター。あともう少し上品になっても下品になってもつまら
ない歌になる。彼女の歌が乗ったときにできあがるトータルコセプトの完成度
の高さ。宇崎竜童と阿木陽子と山口百恵のゴールデントライアングルは燦然と
輝いていた。かといってぼくの作る曲に百恵ちゃんの影響が表れることはなか
ろう。
宇崎竜童さんは「ダウンタウンブギウギバンド」で不良キャラを演じていた
が、おそらく実は真面目な、もしかすると音楽に真面目すぎるほどのお人柄な
のではないだろうか。そうでなければあれほどコンセプトにぴったりくるよう
な曲を書けていけたはずがない。
70年代の歌謡曲の世界に山口百恵がいなかったら、物足りない時代になっ
ていただろう。山口百恵だけにあらず、この頃の歌謡界は役者がそろいすぎて
いたなあ。こんなことを2009年のいまになって初めて気づいた自分よ、遅
すぎる...。

2005.08.30(火) 

ご無沙汰してます。また一年ぶりの更新になってしまいました。すいません。  
最近は専らトランペットの練習に励んでいる。毎日アトリエで数時間吹いている。7月に、ポケットトランペットからふつうのトランペットにバージョンアップした。30歳半ばを過ぎてからテナーサックスを始め、アルトサックスを始め、今度はトランペットだ。ぼくは音楽を聴くことも好きだけど、それよりも楽器を触ったり眺めたり演奏したりすることが好きだ。たいして上手くなれないのだが。トランペットは、 サックスに比べると難しい楽器だ。サックスは、音を出すだけなら、それほど難しくはない。でもトランペットは、ちゃんとした音を出すことが、まず最初の関門だ。アンプシュアーと呼ばれる、口の基本的な形を作るのがなかなか難しい。2オクターブ半の音域を、きれいに一定に吹けるようになるまではけっこう時間がかかるのだ。まだぼくは高い方のFから上がほとんど出せない。唇の周りの筋肉を鍛えなければならない。きれいに音が出せたときは、気持ちがいい。トランペットはやばい楽器だ。演奏者を魅了してしまう楽器である。
トランペットを毎日吹いてたら、Jazzが聴きたくなった。最近はすっかり聴いていなかったマイルス・デイビス、チェット・ベイカー、オーネットコールマンとドンチェリーのコンボをiPodに取 り込んで聴いてみる。彼らそれぞれの音楽に、また新しく感動する。チェット・ベイカーが、こんなにもトランペットの名手だとは知らなかった。彼の歌ばかり好きで聴いていたので。  
ジャズが盛り上がっていた時代には、彼らの破綻した生き方だとか不幸な人生の物語がごろごろ転がっている。理由はいろいろあるだろうが、きっと、楽器の魅力に取り憑かれ、他を犠牲にして、演奏することに熱中しすぎていたのだろう。でも今はそんな時代じゃない。そんな物語は古くさい。今はミュージシャンでも誰でも、ふつうに一人前に生活することが大事だ。しかし、人が夢中になれることにおいて、例えばサッカーワールドカップやオリンピックやボクシングの世界タイトルを獲ることみたいに、Jazzをやったり聴いたりすることがスリリングだった時代がかつてあって、そして今はそういう時代じゃなくなっているのは、寂しいことだ。あの頃のジャズは、いま聴いてもクールだ。

2003.9.1

どうもです。ひっさしぶりの更新です。「踊る太陽ツアー」も終わりbirdさんのアルバムのプロデュースも終わり、あと一つ、まだ内緒なんだけどある仕事があってそれもおわり、そろそろ次のアルバムのための曲作りをし始めないとな、といったところです。
この間葉山の海辺のライブハウスでシークレット弾き語りライブをやってきた。リハーサル前に現地入りしたら、よく晴れて、あまりにも海が輝いてて気持ちよさそうだったので、お店で海パン買って一泳ぎした。気持ちよかった。ライブ前に泳いだのは初めてのこと。どっぷりと陽が暮れてライブが始まる。もちろん海パンのまま。パーカッションのラティールと僕、そして海が波の音でセッションしてくれた。歌は波の音に応え、波の音はコンガに応え、コンガはギターの音に応えたりして、おれとラティ、そして砂のベンチに座るお客さんたちは、真っ黒なだだっ広い海の向こうを、なま暖かい潮風に乗って漂ってるようで。久しぶりに「サンシャイン・ロマンス」も歌ったし。マネージャーと帰りの車のなか、美空ひばりが歌うジャズを小さい音で聴いてたら、波の音みたいに聞こえた。
昨日とあるレコーディングでまたもや、歌一発録りOKをやった。リズムレコーディングと同時に歌う歌はやっぱりいい。みんなの演奏もナイス。こりゃけっこういい出来なんじゃないの?
今日、ドラマーの沼澤尚さんとユウメシを食う。オムライスおいしかった。沼澤さんとは最近出逢ったばかりなのに、なんだかずいぶん前から知っている人のよう。フジロックで観たビョークが凄かったと力説する沼澤さん。去年ヴェスタパインツアーのDVDを観て度肝を抜かれたけど、その時よりもっと大がかりで凄かったみたい。ビョークの合図で花火が打ち上げられたりとか。そのための花火師もフランスからわざわざ呼んだらしいとか。
そういえばこの間ライジングサン・フェスティバルに初めて参加して感心したのが、バックステージがフランクないいムードだったこと。けっこうお酒を飲んでいろんなミュージシャンと話が出来た。あんなに一度にたくさんのミュージシャン達と呑めることはそんなにない。千歳空港についてすぐにスカパラ谷中から「歌わないっ?」て連絡があった。会場に着いた頃にはスカパラのライブは始まってた。アンコールで、いきなり3万人が両腕を上げる前で「めくオレ」歌う。一秒で汗だくになるほどのテンション。深夜になってロザリオス中村達也氏のセッションに飛び入りした。彼の素晴らしいドラムが気持ち良くて、泥酔ぎみのおれ、気が付くと、スカパラ加藤君から借りた超高価なビンテージギターのヘッドをシンバルに叩きつけてた。そしたらやっぱり傷がついちゃって悪いことをした。加藤君ごめん!おれが謝って修理代をだすと言っても加藤君は「いや、いいんすよ、いいんすよ!」。次の日の我らのライブも予想以上に大勢の人が観に来てくれて、その誰もが両腕を上げたりして盛り上がってくれたので、おれも最後の曲でギターのチューニングがめちゃくちゃになると、久しぶりにマイクスタンドを投げてジャンプした。
そしてまた一人のアトリエにもどる。あんまり向き合いたくもない自分と向き合ったりして。ギターを弾いたり、本を読んだり、ぼーっとしたり、ピアノを弾いたり、うたた寝したり、サックスを吹いたり、またぼーっとしたり、メール書いたり、CDを聴いたり、またうたた寝したりして、曲を書いてるフリしてる。

2003.4.11

ニューアルバム完成間近。

いよいよ去年から作ってきたニューアルバムが、ミックスダウンという作業を残すのみという段階まで来ました。
いつもアルバムを作るのは大変なんだけど、今回はまたもや「挑戦」だった。過酷なスケジュール予定を眺めて、いったいこんなことが自分に出来るのかどうか分からないという状況だったが、なんとかなりそうで良かった良かった。いま思えば、去年の「節分の日」に僕がボクシングジムに入るところからアルバム作りは始まっていたのだ。
今回のアルバムは、いつものごきげんなメンバーのほかに、町田康さん、友部正人さん、矢野顕子さん、松本隆さん、松井五郎さん、スカパラホーンズ、クリス・パーカー、ウィル・リー、佐野康夫くん、沼澤尚さん、ほか、そうそうたる人たちと一緒に仕事をすることが出来た。収録曲は11曲、そのうち2曲のリズムレコーディングをニューヨークのHit Factoryという豪華なスタジオ(ジョン・レノンやマイケル・ジャクソンがレコーディングしたところ)でレコーディングした。そこでのセッションメンバーが、ピアノで矢野顕子さん、ベースがウィル・リー、ドラムスがクリス・パーカーという一流ミュージシャン。緊張が走るレコーディングだったが、素晴らしいテイクを録ることが出来た。やっぱり矢野さんのピアノはすごかった。後日、友部正人さん夫妻と一緒に矢野顕子さんの家で晩御飯をご馳走になった。矢野さんの作る手料理がおしゃれでおいしかったです。ニューヨークでは毎日友部さんに会っていた。友部さん夫妻には、いろいろおいしいお店に連れて行ってもらったり、マンハッタンにある友部さん宅でお酒を飲んだりして、ずいぶんとお世話になってしまった。このときのことを、友部さんが雑誌「現代詩手帖、4月号、特集友部正人の世界」にちょっと書いてくれてます。友部さんの素晴らしい詩も読むことが出来るので、ぜひ読んでみてください。
結果的に今回のアルバムは前回の「ムーンストーン」とはまるで違う、そしてここ何作か作ってきたアルバムとも違う、豪華で甘酸っぱいロックン・ロール・アルバムになったと思うんだがなあ。エナジーあるぜ。
今回のアルバム制作期間に、信じられないほどいろんな素晴らしい出会いがあった。とても不思議だ。ショックであったと同時に学ぶことの連続だった。ぼくもいつか一人前になりたいです。
ニューアルバムのタイトルはもうすぐに発表します。よろしくです。

ダン・ヒックス・アンド・ヒズ・ホットリックス

きょうダン・ヒックス・アンド・ヒズ・ホットリックスのライヴを観に行って来た。10年前にダン・ヒックス・アンド・アコースティック・ウォーリアーズとして初来日したとき、彼はアルコールによる長いスランプからようやく抜け出たばかりという噂も本当のようで、お客さんが今日より入ってなかったこともあったし、想像してたより神経質で寂しい印象を受けた。っていうか、今日がお客さん入り過ぎ、かつ、盛り上がり過ぎでしょ!アルバムも出さず、プロモーションもしていないのに、10年前よりも数段人気が出ている感じ。これは驚くべきことというか、不思議な現象でさえもあるような。彼は21世紀に入ったヴァレンタインデーの日に、ステージの上でなにをやっても熱狂的にお客さんに受けていた。皮肉にも、とてもオールドファッションな、極めて20世紀前半的な彼の音楽は、30年近くを経て熟成されたというか、まあ、ようやくそのすばらしさにみんなが気づいたのだろうけど。いやいやちょっと待て。さっき、10年前の彼は神経質で寂しい感じがしたと書いたけれども、それはひょっとしたら、じつは彼は全く変わっていなくて、おれの心境の変化、おれを取り巻く世界の変化が、彼の印象の変化なのではないかという気がしてきた。おれは10年前、ダン・ヒックスが好きで好きでたまらなくて、それこそ神様のように崇めていたのだけれど、当時若かったおれは、彼のレコードを聴いて、おしゃれで切れ味のいいスイング感に、もっと派手でエネルギーに溢れたものを感じ取っていて、それを彼のライヴに求めていたのかもしれなかった。おれはそのとき彼の音楽に流れている悲しみに気づいていなかったし、彼のとぼけた美しい冗談はそこからこぼれていることも知らなかった。彼の寂しい無表情はカタルシスに溢れていた。彼はきっと目の前のお客さんが受けていようが受けていまいがどうでもよく、そればかりか彼自身の人生についてさえも、どうでも良かったりするのではないか。彼の歌は、それゆえに、あれほど強くて悲しくて美しくてばかばかしくて軽いのだろう。今日のライヴを観ておれはそんな気がして少し救われた。そしてあらためて彼の音楽に敬意を払ったね。


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