DIARY

ジム・ホール逝く

すっかり寒くなった。
ジョギングするのが億劫になる季節がやってきた。
寒さでからだが縮こまる。
外に出るのが面倒になる。

エイヤッとばかり外に出て1、2キロ走れば、
自然にからだは温まって走りに惰性がついて、
足が勝手に動く。

ぼくがジャズギターの世界にハマるきっかけになったギタリスト、
ジム・ホール氏が亡くなった。
ボブ・ブロズマンの影響でジャンゴ・ラインハルトを聞きはじめ、
ジョー・パスに興味を持ち、
そしてジム・ホールの”Live!"というアルバムに出会った。
このアルバム によって決定的にジャズギターに興味を持つようになった。
20年くらい前に、
ビル・エバンスとの"Undercurrent" とソニー・ロリンズとの”Bridge"は聞いていたが、
ジム・ホールのギターの美しさにその頃は気付かなかった。
1975年の"Live!"は60年代から新しいジャズギターの可能性を模索していたジムの仕事が結実したような、
美しい官能的なアルバムだ。
彼のギターはスポーティーとか、アクロバティックとか、
早引きを弾きまくる曲芸的なギターではないが、
ギタートーンは深くイマジネーションに富む。
和音のセンスは息を飲むほどリリカル。
複雑にスケールを使って空気のキャンバスに絵を描くように演奏する。
その旋律はキュビズムの絵画のように象徴的で、
ピカソが描いた貴婦人のように多面的で叙情的な表情をたたえている。

70年代以降の彼のギターの旋律はどこか映像を感じさせる。
印象派の絵画のような暗示的な映像だ。
彼が雑誌のインタビューで、
絵画を鑑賞するのが好きだと言っているのを読んで納得した。

彼の演奏を生で見ることができなかったのが残念だ。
僕の世代は、
ジャズがスリリングな音楽として存在していたことを知っているが、
いまの若い人たちはどうなのだろう。
願わくば若い人たちに、
ジム・ホールやウェス・モンゴメリーのような、
すばらしいジャズマンを知って欲しい。

 

重たいかばん

朝方は雨が土砂降りだったので、
今日はいつも持ち歩いているお気に入りのギターを持って行くのをやめた。
持ち歩かなくてもアトリエにギターがあるので支障はない。
でもそのギターを持ち歩いていつでも弾けるようにしておきたいのである。
馬鹿げた願望だ。

僕はいつも荷物が多すぎる。
今日もかばんの中に入れる本をできるだけ少なくしようと、
持ち歩く本を選んで泣く泣く棚にしまって、
ぎりぎりまで絞り込んでも、
まだかばんは重たい。
そのくせかばんに入れた本は今日も一回も開かなかった。

いま持ち歩いている本はすべてジャズの本である。
最近小説は全然読んでいない。

「クリスマスラブ」のメニューを考える。
ひとりソウルツアーの余韻が抜けきらず、
なかなか頭が切り替わらなかったが、
ツアーのからだがここのところやっと日常のからだに戻ってきた感じがする。

柔軟体操をするように、
頭をちょっとずつ柔らかくして、
アイデアを練ろうとするが、
どうもまだイメージがふわふわとしている。

ジャズの勉強をしていることで、
楽譜を書いたり読んだりすることが多くなったので、
仕事が少し効率的になりそうな気がする。


 

グラント・グリーン

ひとりソウルツアー、しーたか40、FNS歌謡祭など、
息つく間もない日々が過ぎて、
やっといま少しだけ一息入れている。
日記に書きたいことがいっぱいあったが忘れてしまった。

ひとりソウルツアーで全国を回り、
東京に帰って最後の二公演を迎える直前に、
長い間修理に出していたGIbsonL-7が帰ってきた。
それ以来ずっとそのギターを弾いている。
少しでも時間があればジャズギターの練習をしている。

ジャズのフレーズの理解が少しずつ進んでいる。
同時にジャズギターの奥の深さと種類の多さも見えてくる。

ジム・ホールばかり聞いていたときピンとこなかったグラント・グリーンが、
今はびんびん心に響いてきている。
理路整然と深い演奏をするウェス・モンゴメリーやケニー・バレルやジム・ホールに比べ、
直感とリズムで押しまくるグリーンはロックンロールのギターみたい。
チャックベリーを感じる。
弾いているギターも近いものを使っているし。
荒削りな彼の演奏がかっこいい。



 

工夫する人たち

とあるリハーサルで久しぶりに大きなスタジオへ。
たくさんのミュージシャンやスタッフが関わっている現場で歌うのは、
やっぱり面白い。

いま「ひとりソウルツアー」で全国のライブハウスを廻っていていいなあと思うのは、
地方のライブハウスのハウスエンジニアが素晴らしい音作りをしているということ。
自分なりに音にこだわって機材を選んでサウンドシステムを構築し、
そのハコなりのいい音を一生懸命工夫して作っている。
そういうスタッフたちと仕事をするのは気持ちがいいし楽しい。

ウェス・モンゴメリーのソロを少しずつコピーしているが美しくて惚れ惚れする。
これぞジャズギターといった感じの教科書的なメロディ。
そうでありながらウェスにしか弾くことのできない独自性、深さ、グルーヴ。
ジャズギターの人が皆言うけれど、
コピーしてみて彼がいかにすごかったかが分かる。

 

ひとりソウルツアー全国縦断中!

今年もエンジン全開でお客さんとソウルをぶっ放しあって旅しています。
歌って旅するミュージシャンも芸人の一種だとすれば、
3年前に始めた「ひとりソウル」によって少し本当の芸人なれた気がします。
3年前よりもステージの上が少し見えてきている気がします。
ステージの上は学ぶとことがいっぱいあり、
一生かかっても学びきれません。

田島貴男の「ひとりソウルショウ」は少々刺激の強い「ひとりエンターテイメント」です。
食べ物に喩えるなら辛口カレーみたいなものでしょうか。
少々辛いけれども旨い!
そしてなんとなくまた食べたくなる!
ゴージャスな料亭料理よりも、
日常的に食べたくなる「辛口カレー」を目指したい。
そんなことを思いながら「ひとりソウルツアー」をしています。

何度か行っている街はもちろんのこと、
このツアーで初めて行った街、
かなり久しぶりにライブをした街で、
手厚い歓迎を受け本当に嬉しいです。

旅はまだ半ば。
一回一回のライブに、
心を込めて歌っていきたいと思います。

みなさま、田島貴男の「ひとりソウルショウ」へぜひご来場ください。


 

基礎をもう一度

ここのところ睡魔に抗いながらジャズの初歩を少しずつ勉強していて、
漠然とだが見えなかった景色が急に見え始めたような気がしている。

初歩的なことや基礎をもう一度勉強する難しさは、
分かりきっていると思っていたことの中に、
実は分かっていない部分があることを見つけてゆく難しさだ。
自分が無意識的に素通りしてきた部分を確認してゆくのは、
面白いけれども労力を使う。
ほとんど眠りながらスケール練習をしている。

ジャズは、
サッカーや野球のように、
ルールがあるゲームみたいだ。
少しスポーツに似ている。
ルールを知らないと充分に楽しめない。
そこがジャズの取っ付きにくさである反面、
それを知れば、
野球やサッカーのように盛り上がって、
魂を解放できる。

ジャズはブルースやロック、ポップスとは違った考え方をする音楽だと、
前から思っていたが、
今はさらにそう思うようになった。
ジャズはロックンロールが誕生する前から、
ロックンロールの元の音楽であるカントリーブルース、リズムアンドブルースなどと分かれて、
違った方向に発展した音楽なのだ。

ロック、ポップス、ブルースは、
みんなで楽しむカジュアルな音楽だが、
ジャズは、
楽器演奏のスペシャリストが、
知力と体力を結集して挑むアスリート的な音楽でもある。

ジャズを知るほどに、
ジョー・パスやウェス・モンゴメリーなど、
過去のジャズの巨人たちとの距離が指数関数的に拡がってゆく。
以前よりも何倍も巨人に思えてきて、
遥か彼方にいる人物だということが分かってくる。

それでもジャズの理解がゆっくりと進んでいっている今は、
胸がときめくような、
なにか嬉しい気分なのである。
 

少し前の話になってしまったが、
真城めぐみ20周年記念イベント「マシロック」に、
「ひとりソウルスタイル」で出演してきた。
ノーナリーブス、ホフディラン、キリンジ、ジョンB&ザ・ドーナッツ、
堂島孝平君、レキシや小沢健二君まで参加して、
予想を上回る感動的なイベントになった。
イベントの最後に、
同じステージに小沢君と木暮と中森さんと鹿島さんと真城が立って演奏しているのを見て、
なにか記憶がフラッシュバックしたかのような、
変な感覚にとらわれて思わず笑ってしまった。
音楽を続けているとこういう「いい瞬間」があるのかと、
感慨深かった。
あの場を作った真城と彼女の仲間たちとお客さんに感謝したい。

「ひとりソウルツアー」の準備が続いていて、
連日ギター練習に明け暮れている。

先日久しぶりにスポーツスター883に乗った。
だいぶ乗っていなかったのでもう乗り方を忘れているかと思ったが、
バイクにまたがった瞬間全部思い出した。
街をほんの少し走っただけだったがやっぱり楽しい。
考えてみるとここのところずっと音楽漬けの毎日だから、
いい気分転換になった。

バイクは僕にとって窓のような存在だ。
たまには窓を開けて風を心に送って、
空気を入れ替えたほうがいい。







ひとりマルディグラ

今日も今年のひとりソウルショウの仕込み。
昨日のギターの話じゃないが、
ひとりソウルの機材も、
これまでいろんなセッティングを試してきたが、
ようやくいい形を見つけたと思う。
最初の頃に比べるとずいぶんシンプルで効率的になった。

ひとりソウルを始めてからギターへの関心がハンパなく高まり、
ギターを練習するようになって、
その練習の成果が現れ始めて、
ライブをするのがもっと楽しくなった。
今年は去年よりもまたすこしギターが上手くなっているから、
やれることがさらに広がっている気がする。

「ひとりソウル」は、
ぼくの中では「ひとりマルディグラ」みたいなもの。
「祭り」の出し物をどんなふうにするか。
僕の今年の総決算の仕込みは続く。




合う楽器

僕はどちらかというとなんでもあまり迷わずにすぐにこれと決めてしまう性格だが、
楽器に関しては考え過ぎる癖があるようだ。

ハーモニカはSUZUKIのManjiを愛用しているが、
これにたどり着くのにもかなりたくさんのハーモニカを買って吹いて試した。
迷いに迷ってある時やっぱり自分にはこれがぴったりだと実感して、
それ以来Manjiひとすじだ。

リゾネイターギターもいろいろを弾いたが、
ある時からほとんどNationalのStyle1ばかり弾くようになった。
自分の音楽にはこれがいちばん合っていると分かった。

最近弾き始めたフルアコギターは、
今は日本製のダキストJazz Lineを弾いていて、
おそらくこれだろうと思えるのだが、
迷いがまったく無いとは言えない。
ひょっとするともう少し自分に合ったものがあるのかもしれないし、
やっぱりこれなのかもしれない。

早く「これだ!」と分かる時が来るように、
Jazz Lineを弾きまくる毎日だ。



ダークなソロ

ジム・ホールの音楽は、
一度良さが分かると中毒性が強いというか、
どんどんハマってゆく。

アルバム”LIVE!"をきっかけに最初は70年代の彼の作品が好きだったが、
80年代以降もなかなか良かったりするし、
最初はあまりピンとこなかった60年代の作品も今は大好きだ。

トーンを絞ったダークなギターの音色が特徴的で、
これが聞くほどにクセになる。
そして名ギタリストの常だがピッキングがいい。
ギターを深く響かせるように、
一音一音を味わうように、
丁寧に弦を鳴らす。

このピッキングが、
やはりピッキングが特徴的なウエス・モンゴメリーとは対照的なダークな音色を、
生き生きとさせている。
ウエスのギターがチームの花形選手の4番バッターだとすれば、
ジム・ホールは詩的な佇まいの2番バッターという感じか。

彼は2000年以降も新作アルバムをリリースしているようだ。
長きに渡っていいアルバムを作り続けた彼のキャリアは驚くばかりだ。
短命な人が多いジャズミュージシャンの中で彼は現在80歳を越えて、
まだライブでジャズギターを弾いている。
少しエンジンがかかるのが遅くなったようだが、
それでもソロがノってくると相変わらずダークな音色で生き生きとしたフレーズを弾いている映像を見て感動した。





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