DIARY

ダン・ヒックス・アンド・ヒズ・ホットリックス

きょうダン・ヒックス・アンド・ヒズ・ホットリックスのライヴを観に行って来た。10年前にダン・ヒックス・アンド・アコースティック・ウォーリアーズとして初来日したとき、彼はアルコールによる長いスランプからようやく抜け出たばかりという噂も本当のようで、お客さんが今日より入ってなかったこともあったし、想像してたより神経質で寂しい印象を受けた。っていうか、今日がお客さん入り過ぎ、かつ、盛り上がり過ぎでしょ!アルバムも出さず、プロモーションもしていないのに、10年前よりも数段人気が出ている感じ。これは驚くべきことというか、不思議な現象でさえもあるような。彼は21世紀に入ったヴァレンタインデーの日に、ステージの上でなにをやっても熱狂的にお客さんに受けていた。皮肉にも、とてもオールドファッションな、極めて20世紀前半的な彼の音楽は、30年近くを経て熟成されたというか、まあ、ようやくそのすばらしさにみんなが気づいたのだろうけど。いやいやちょっと待て。さっき、10年前の彼は神経質で寂しい感じがしたと書いたけれども、それはひょっとしたら、じつは彼は全く変わっていなくて、おれの心境の変化、おれを取り巻く世界の変化が、彼の印象の変化なのではないかという気がしてきた。おれは10年前、ダン・ヒックスが好きで好きでたまらなくて、それこそ神様のように崇めていたのだけれど、当時若かったおれは、彼のレコードを聴いて、おしゃれで切れ味のいいスイング感に、もっと派手でエネルギーに溢れたものを感じ取っていて、それを彼のライヴに求めていたのかもしれなかった。おれはそのとき彼の音楽に流れている悲しみに気づいていなかったし、彼のとぼけた美しい冗談はそこからこぼれていることも知らなかった。彼の寂しい無表情はカタルシスに溢れていた。彼はきっと目の前のお客さんが受けていようが受けていまいがどうでもよく、そればかりか彼自身の人生についてさえも、どうでも良かったりするのではないか。彼の歌は、それゆえに、あれほど強くて悲しくて美しくてばかばかしくて軽いのだろう。今日のライヴを観ておれはそんな気がして少し救われた。そしてあらためて彼の音楽に敬意を払ったね。


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