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アリス・クリードの失踪



映画「アリス・クリードの失踪」を見た。
誘拐犯二人と人質を描いたサスペンス密室劇。
ストーリー展開で、
見る者たちをあっと言わせてやろうという作者の意図がミエミエな感じがするのだが、
なかなか面白かった。
イーサン・フォークの映画「テープ」みたいに三人しか演者がいない。
密室という設定も同じ。
こういう映画を見ながら、
登場人物たちのストーリーがどうなるかを予想するくせが最近ついてきているのだが、
今回は予想した展開が当たった。
というか、このラストが、
映画のエンディングとして一番形になるだろうな、
と僕にさえ予想できてしまったところが、
この映画の「あともう少し」なところか。





繋げるための練習

In 鎌倉」のリハーサル。
弾けなかったギターフレーズが弾けるように、
脳の繋がっていなかった回路を繋げるように、
頭で憶えることと身体で憶えることを繋げるように、
考えるよりも先に手が動くようになるまで、
反復練習。
つまり反復練習は繋げるための練習。

体を使う以上に頭を使っているようで、
練習後は強い睡魔に襲われる。

ジョギングは頭の疲れをかえってすっきりさせる。
頭の疲れと身体の疲れは、
どちらかが多ければ他方を動かしてバランスを取った方がすっきりする感じがする。




Kurt Vile "Smoke Ring For My Halo"



Kurt Vileの"Smoke Ring For My Halo"
最初に聴いたときは地味な印象だったが、
聴くほどに好きになっていったアルバム。
とくに2曲目の"Jesus Fever"はいい曲。
最近はむかしのブルースと、
Tune-YardsやSt Vincentなどの、
最近のアーティストのアルバムをチャンポンで聴いて、
なんだか頭の中がとっ散らかっていたんだけどさ。
彼のアルバムは去年出たアルバムでありながら、
ギタースタイルにカントリーブルースなどの古い音楽の影響が感じられたり、
どことなくチェリーレッドレーベルのアーティストの曲のようにも聞こえるところもあり、
とっ散らかった頭の中が整頓されていくような気分になる。
ギター弾き語りデモテープの延長のような、
なんのてらいもなく、
自分のやりたいことをひたすらやって出来上がったアルバムという感じで、
気負わずに聴けるし、
なんとなく曲を流しっぱなしにしておくのもいい感じのアルバム。
このアルバムを去年の年間ベストにあげる人が多かったのは、
逆の意味で時代を象徴しているのではないか。





マリンバンド

「In鎌倉」のリハーサル。
今日も頭の中はいっぱいいっぱい。

ハーモニカ、最近はマリンバンドが大好きになってきた。
タングブロック奏法をするようになって、
ここのところやっとすこしこの吹き方に慣れてきたら、
音色が素直になってきて音量がでかくなって、
ハーモニカ本来の個性がより分かるようになってきた。
マリンバンドを吹いていると楽しくて時間を忘れる。
さすが10ホールズの超スタンダード。
ホーナーのハーモニカはすべての種類それぞれが個性的で味があっていいなあ。

去年から10ホールスハーモニカが大好きになって、
ますます深みにハマってきてる。
飽きるどころかどんどん面白くなるばかりだ。





豊作

「In 鎌倉」のリハーサル。
ギターを弾き過ぎてヘトヘトになる。
また今回もいっぱいいっぱいのライブになりそう。
やったことがないことをやるための、
新しい技術を身につけるための地味な練習に追われている。



つい先日の来日公演がよかったとツイッターで盛り上がっていた、
St Vincentの最新アルバムを聴く。
この人の曲は何曲か聴いていたが、
ちゃんとアルバムを聴いたのは初めて。
アレンジがぶっ飛んでいて音色がきらびやかで洒落ていて、
すごくよいアルバムだった。
最近はTune-Yardsといい、次から次へ新しい才能がぽこぽこ現れてきている。
でもこの人は才能のみならずファッションもよし見た目もよしでズルいわな。

それにしても最近はよいアルバムがとてもたくさん出ているような気がする。
世界中のシンガーソングライター達が頑張っているように思えるのだ。



冬のエピローグ

「In 鎌倉」のリハーサルが始まった。
「ひとりソウルショウ」とは違った、
田島流の弾き語りスタイルを作っていくため、
練習をする。
今までやったことのなかった弾き方、
使っていなかった筋肉を使い、
楽器を弾く姿勢も変わったので、
身体の思わぬところが痛くなったりしている。

夜、東京にまた雪が降った。
北国では見飽きている雪景色も、
東京では一年に数回しか見られないショウタイムみたいなもの。
破れた枕から町中に飛び散った羽毛のような雪が、
夜に連なる屋根とビルと入り組んだ裏道をみるみる白く包み込んでゆく。
口に入ってくるほど降る雪の道を滑りそうに歩いていると、
車の通行量の多い車道まで積もり始めたから、
すこし気持ちが浮き足立ったが、
夜更け過ぎにもう一度外に出たら、
雨に変わってしまっていた。

雪が降ったあと、
東京は毎日少しずつ暖かくなって春に向かってゆく。
東京の雪景色は、
冬が最後の力を振り絞って町を寒がらせようとする、
冬物語のエピローグだ。



楽器が語る

朝から東京にこの冬初めての雪が降った。
街をうっすら白く塗りつぶした束の間の雪に、
むかし子供だった大人がすこし嬉しい気分になる。

取材を受けに横浜までドライブし、
アトリエに帰ってきてライブの内容を考える。

ギターを弾きハーモニカを吹く。
寒い日は古いギターの音色がからだによく沁みる。
リゾネーターギターのメーカー、
「ナショナル」のむかしの職人は、ギターを、
美しい音色を奏でる芸術品として作っていたのだなと思う。
素晴らしい楽器は、
弾いていると楽器が語りかけてくる。
今日も楽器にいろんなことを教わった。




練習は続くよ

アトリエに眠っていた年代物の古いリゾネーターギターが、
修理から上がって来た。
ネックが反ってほとんど使い物にならない状態だったが、
素晴らしい音色が蘇った。

楽器全般に言えることだが、
どうして古いものは作りがしっかりしていて、
音がよく響き、
音色に味があるのだろう。
昔の職人の技術は、
どうも今よりもかなり高かったとしか考えにくい。

練習し始めて改めてリゾネーターギターの演奏の難しさに直面した。
もっともっと練習が必要だ。

去年の「ひとりソウルショウ」以降、
今さらながら楽器を練習する楽しさに目覚めた。
もっと若い時から目覚めておきたかったとも思うが、
今になってこういう楽しみを見つけられたというのも、
まだ音楽に新しい楽しみを見つけることが自分に出来ることを知って、
嬉しいようなこそばゆいような感じなのだ。






アイデアの雲

風邪が治りそうで治りきらない状態が続いていてなんとももどかしい。
久しぶりにずいぶんとしつこい風邪だ。
そんな風邪を振り切るようにアトリエに足を運び、
先日レコーディングした曲にアコースティックギターをダビング。

そして「田島貴男 in 鎌倉」の曲目第一候補を考え、
部分的な練習を始めた。
雲のような漠然としたイメージから、
音を出しながら、
声を出しながら、
リズムを取りながら、
ハーモニカを吹きながら、
ギターを弾きながら、
少しずつステージのとっかかりを探す。

アイデアは最初は雲のように漠然としている。
それがなんとなく一つの方向を持ち始め、
形になってゆくには、
イメージし続けなければならない。
雲が晴れて消えてしまわないように。

なにを考えたらよいかも分からない状態であるこの段階は、
すこし重苦しいような不安定な時間なのだが、
モノを作ることにおいて大事な段階なので、
遊ぶように軽やかに取りかかり、
音を出しながら、
声を出しながら、
リズムを取りながら、
ハーモニカを吹きながら、
ギターを弾きながら、
体を動かして、
手を動かして、
その「アイデアの雲に」取り組んでゆく。




山元町と団長。








スコップしに山元町へ。
今回は嬉しいことに団長がダンプで迎えに来てくれた。
スターバックスコーヒーを買ってダンプに乗ったが、
団長のワイルドな運転もあって、
めちゃくちゃ揺れて、
コーヒーが溢れまくって、
ダッシュボードやぼくの赤いツナギにこぼれまくった。

ダンプの中で、
震災直後の壮絶な体験を団長から聞いた。
それは想像を絶する、
地獄の光景だった。

少し不器用な団長の話が、
中途半端な口先だけの文化人よりも、
よっぽど深さを湛えているようにぼくに思えるのは、
彼が震災を目の当たりにして感じた「痛み」から、
半ば反射的に行動し、
そこで体験してすこしづつ作られていった、
彼自身の考えが話されているように思えるから。

彼は「復興」というスローガンよりも、
「命」というテーマ、
「生と死」というテーマでいまも行動しているように思える。
彼が震災によって体験した恐るべき「生と死」は、
同時に自分にも訪れる可能性を孕んだ、
「誰かのもの」ではなく、
「自分のもの」である「生と死」なのだろう。

彼が震災で亡くなった方々への「お供え」として、
でっかい花火を打ち上げたいと考えるのは、
とても納得がいく。
「天国にぶっ放せ!」は、
震災で亡くなった方々と、
やがて死んでゆくのだがまだ生きている私たちとをつなぐ、
「生と死」の、
「命」のセレモニーなのではないか。

昔から人は「お供え」をしてきたようだ。
亡くなった方々へ、
それと同時にやがて死んでゆくであろう自分へ、
そして暗に、
誰かが私たちの死後に「お供え」をしてくれるかもしれない「可能性」をも願って、
「お供え」をしてきたようだ。

この巨大な震災のなかで、
このようにある意味真っ当なあたりまえの行動がとれる団長は、
あったかい東北魂を持ったかっこええ男だ。








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